先が読めない闇のお仕事【メランコリック】ネタバレ・レビュー

先が読めない闇のお仕事【メランコリック】ネタバレ・レビュー
https://eiga.com/movie/89872/gallery/
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おすすめ度

絶妙な設定で引き込まれるが、粗も気になってしまった。
おすすめ度:★★★☆☆【3点】

あらすじ

名門大学を卒業後、アルバイトを転々とし、うだつの上がらない生活を送っていた和彦。ある日、偶然訪れた銭湯で高校時代の同級生・百合と再会した彼は、そこで一緒に働かせてもらうことに。やがて和彦は、その銭湯が閉店後の深夜に浴場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。さらに、同僚の松本が殺し屋であることが明らかになり……。
引用元:映画.com

感想

新人監督ながら数々の賞を受賞。
またプロデューサーが主人公、アクション担当が準主役と非常に低予算での制作された映画。

ほぼ自主制作に近いかたちで、そういう新人監督・低予算などの制作過程をコミコミで考えるなら非常に満足度はあると思います。スゴイのが出てきたぞと。

ただまっさらに観た場合、出来事の処理が甘かったり間があったりと荒が目立ってしまうかもしれません。自分は荒が気になった方です。

東大卒ながら就職歴が無い主人公。
なんだそれと思いますが、まともそうでなんとなくズレてる感じをちょいちょい見せていき、なるほどと思わせます。何度も映る食事シーンでも、いつも家族3人で特に無職を怒るわけでもない優しい親に生活を甘えてる感じが見て取れます。

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ちなみに毎回固定角度で取られる家族食事シーン。なんかシュールながら最後にこの人数が変わるのがうまい!

その後、重要となる銭湯に行く流れがあるのですが、ここがやや酷かったなと。全体的にお母さん役が演技に必死で役に入れていなかった印象。

銭湯でバイトすることになり、閉店後に車が入って来たのを怪しく思うところから劇的に物語が進んでいきます。
銭湯での死体処理。汚れてもすぐ掃除できて遺体を焼却できる。面白いところに目をつけました。

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裏稼業を見てしまい殺されるかと思いきや、人数が足りないと仲間に入れられます。

銭湯の店長さんがなんとも落ち着いてて魅力的な人物。そしてなぜか「OK?」と聞いてくるのがシュールでした。

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とんでもない場面を見て主人公はどうするのかと思えば、警察に行くわけでもなく店長にもらった特別手当を見てにやにや。そうとううれしかったのか枕の横に置いて非常に満足して眠りにつきます。

裏稼業ながら仕事をしたという満足が何事にも勝ってしまう。。この流れこそがこの映画も面白さ独特さだと思います。

その後裏稼業にいつあるか聞くなど、通常の銭湯バイトよりやる気満々になる主人公。しかも同じ時に入った年下のバイトより気密事項を知ったという優越感でデレデレになってるのがまたなんともこっ恥ずかしい。

しかし、年下のバイトも裏稼業をしてること知りがっかりする主人公。さらに裏稼業は年下にリーダーを任せると言われさらにがっかり。この時年下がガラス越しに裏稼業の先輩と綿密に話し合ってるのがさらに主人公を惨めにします。

その後も、裏稼業の後処理をだけ任され、年下は打ち合わせに行くと出ていきます。明確な立場の違いが痛々しい。

この上下関係日常でもあるかと思います。学歴や年齢など仕事と関係ない部分で他者を見下しておきながら、すげー下だと思ってたやつに「すんません上司に呼ばれてるので、あとお願いしてもいいですか?」と言われたら惨めすぎて精神崩壊です。

さらに非常なことに年下は殺し屋界では何なら有名な方で、裏稼業をカジッただけでとんでもない高揚感に包まれた主人公とはとんでもない差があったわけです。その優秀さは今作の見せ場でもあるビル内での銃撃戦でわかります。アクションだけでこいつ只者じゃないのがわかり素晴らしかった。年下を演じ映画のアクション担当でもある磯崎義知。もっとこの人のアクションを観たい!

主人公のその後態度がどうなるか心配でしたが、年下と喧嘩するわけでもなく年下の性格の良さもあり仲良くなっていきます。裏稼業で彼女作らない年下が童貞だったことでえらく勝ち誇ってたの主人公にも笑えます。

終盤、裏稼業がヤクザによってかき回されてることに業を煮やし、大元のヤクザを二人で殺しに行くことをなります。

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一夜漬けですが一緒に訓練する主人公と年下。急激に高まるバディ感にちょっとわくわく。

しかし直前になって年下は、足手まといと言い主人公を車に置いていきます。ヤクザ宅に乗り込む年下。そこで二転三転あり決着へ。年下の「チッ」が良かった。

年下は重傷を負い、免許なしの主人公が車を運転することに。ここのパニックぶりが秀逸でした。運転する側としたらそんなことからわからんのかと新たな発見。ただあんだけ運転できない模様を描いておきながら、次の場面では自宅に着いてるのがものすごい違和感。発進だけであれだけのパニックなら車道に出て交差点を曲がるなどどんだけのパニックなろうか。。東大生だからいち早くなれてしまったのか。。

制作側としてはパニック場面は取りたいがその後あんま考えてなかったようです。自分は処理が甘すぎてストーリーに入ってた気持ちがスーッと離れてしまいました。

その後、銭湯のオーナーになった主人公。一命を取り留めた年下とヤクザの女と一緒に働くことに。

最後は主人公の彼女を含めた4人で笑いながら、こういう一瞬のために行きてると終わります。

うーん、人を殺した者の顛末としては全く納得がいきません。その後殺されるというのが織り込み済みで儚い一瞬を描いてるなら悪くないですが。。できればそれは匂わせてほしい。

最終的に殺人にも加担した主人公に罪悪がないのも腑に落ちない。

ただ最後の顛末に納得行かないものの、ストーリーや人物にかなり引き込まれたのは事実。この制作チームの次回作が早く観たい。

データ

製作年:2018年
上映時間:114分
監督:田中征爾
キャスト:皆川暢二/ 磯崎義知/吉田芽吹/羽田真/矢田政伸/浜谷康幸/ステファニー・アリエン/大久保裕太/山下ケイジ/新海ひろ子/蒲池貴範

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

舞台になった銭湯。
千葉県浦安市猫実4丁目 松の湯

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