さかなクンが帽子を脱いだ!【さかなのこ】ネタバレ・レビュー

さかなクンが帽子を脱いだ!【さかなのこ】ネタバレ・レビュー
https://eiga.com/movie/96792/gallery/
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おすすめ度

「のん」をキャスティングでしたことで勝負あり!
おすすめ度:★★★★☆【4点】

あらすじ

小学生のミー坊は魚が大好きで、寝ても覚めても魚のことばかり考えている。父親は周囲の子どもとは少し違うことを心配するが、母親はそんなミー坊を温かく見守り、背中を押し続けた。高校生になっても魚に夢中なミー坊は、町の不良たちとも何故か仲が良い。やがてひとり暮らしを始めたミー坊は、多くの出会いや再会を経験しながら、ミー坊だけが進むことのできる道へ飛び込んでいく。
引用元:映画.com

感想

さかなクンの半生を、人間味溢れるユーモアを取り続ける沖田修一監督が映画化。

男性である「さかなクン」を、女性である「のん」が演じる。なんとも大胆な決断であり、この作品の半分はこのキャスティングで勝負あった気がする。

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映画冒頭に出る「男か女かはどっちでもいい」という宣言。凝っているパンフレットのハコフグを捲るとそこにも書かれている非常に強いメッセージ。

美人ながら少年のようなあどけなさが残るのん。そして性的な部分がオミットされているさかなクン。なるほどこのキャスティングは的確中の的確だと思わざるを得ない。

ストーリーは最初収まりがつかない感じだったが、テレビで人気物になるまでの過程は終盤畳み掛けるようにつながっていき、総じて非常に丁寧に描いてたが気がします。

ただちょっと長かったかな。139分。。ゆるい展開が続くし作品の雰囲気上短いほうが好印象だった。

でも端折っている部分は端折ってはいた。

ヒヨのデートが台無しになった場面は、なぜ彼女が怒って帰ったことは明かされないままだが、観ているものにはわかる。さかなクンことミー坊がヒヨの彼女に夢を語るがそれを「いい大人が・・」と笑ったからである。たぶんヒヨはアイドルの彼女とは結婚を考えていたのだろう、だが親友のミー坊がバカにされたことが許せなかった。自分の気持ちを言わずにはおれず、彼女が更に怒って帰った。
説明がなくてもギリギリわかるラインでヒヨとミー坊の絆を象徴させたのは素晴らしい演出だったと思う。

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序盤の少年時代はこれまた女の子である子役の西村瑞季が演じる。西村瑞季は可愛かったなー。

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しかし少年時代で非常に困惑するのがさかなクン本人が演じたギョギョおじさんとの邂逅!

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えーと今後さかなクンになる少年がさかなクン本人と出会う。。実はのんがさかなクンを演じる以上に頭がこんがらがるのがココなのです!

代名詞のハコフグ帽子はこのギョギョおじさんから受け取るので、さかなクンが未来のさかなクンから受け取るループ現象なのかと大混乱。

しかもこのハコフグ帽子の顛末がまたすごい。
ミー坊の父親がなんだその帽子は!と帽子を無理やり取ろうとするのだが、その瞬間怪しい光が出て帽子は皮膚のように剥がれません。

なるほど聖域であるハコフグ帽子の演出をここでやってきたかと頷いていたものの、次の瞬間脱帽しハコフグ帽子をミー坊に託します!なんと国会でも葬式でも脱がなかったハコフグ帽。一生脱帽したさかなクンを拝めないと思ったのに拝めてしまった!そしてさかなクン普通にふっさりした髪!

その後警察に連行されたギョギョおじさんを追い掛け、ハコフグ帽はミー坊から脱げて道端に落ちてしまいます。そしてそれが次に拾われるのは時を超え高校生になったミー坊!んなバカな!聖域と思われたハコフグ帽の雑な扱い!

でも最後ミー坊がさなかクンとして生きていく、大いなる決意のアイテムとして再度出てくるときはグッときました。

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高校生時、漁港でヤンキーとのやり取りは沖田修一監督の真骨頂!
クスクス笑えるオンパレードですが、一番笑えるのは青鬼のバタフライナイフでしょう。

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ナイフを必要とされナイフを振り回し少しご満悦ながら渡すものの、魚をさばくのに使われテンションだだ下がり。そしてみんなが魚を美味しい美味しいと感動してる中1人ナイフのにおいを気にして怒ることも出来ない内気なヤンキー青鬼。
その後もう一回同じ流れがあり、愛される青鬼のナイフ!そして青鬼の顔!かなり笑えました!

ここで食べたイカがヤンキー籾山の人生を変え、後のミー坊に大いなる影響を与えます。そして幼馴染のヒヨもヤンキーに囲まれながらも我道を行くミー坊に影響され変化が起きていき、これまた後にミー坊の人生に大きく関わってきます。

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自分の生き方が他人に影響し、そして自分もまた影響される。
非常に考えされれるさかなクンの半生!

夢を追い続け紆余曲折しながら叶えた人生に男も女も関係ない!

幼馴染のもう1人を演じたのは夏帆。最近幸薄い役が多く今作もそうだった。ある時ひとつ屋根の下で男女が一緒に暮らしたわけだが、二人に性的な匂いをさせないのはやはりこの特殊な設定が勝っている。

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また最後までミー坊の理解者だったお母さんを演じた井川遥。終盤、実はミー坊以外の家族3人は魚嫌いというカミングアウト。途中から説明も無くミー坊と母親しか出て来ないのだが、おそらく別居状態になり父親と長男は魚中心の生活から脱落してしまったのだろう。(その説明の省き方も良かったと思う。最後父親も長男もテレビに出るさかなクンにほっこり)

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その他、脇を固めた出演者も豪華でした。1点ミー坊がアパートに帰る際かならずいる理髪店の紐旦那は誰だったんだろ。。

さかなクンワールドを見事に体現した不思議な世界観でほっこりしたい人はおすすめです!

データ

製作年:2022年
上映時間:139分
監督:沖田修一
キャスト:のん/柳楽優弥/夏帆/磯村勇斗/岡山天音/三宅弘城/井川遥/西村瑞季/宇野祥平/前原滉/鈴木拓/島崎遥香/賀屋壮也/朝倉あき/長谷川忍/豊原功補/さかなクン

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

ヤンキー対決シーン
千葉県館山市布良漁協

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