家族が壊れそしてまた繋がる【ひとよ】ネタバレ・レビュー

家族が壊れそして繋がる【ひとよ】ネタバレ・レビュー
https://eiga.com/movie/91031/gallery/
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おすすめ度

芸達者な役者が集まりました。
おすすめ度:★★★★☆【4点】

あらすじ

タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、愛した夫を殺害した。最愛の3人の子どもたちの幸せのためと信じての犯行だった。こはるは子どもたちに15年後の再会を誓い、家を去った。運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。そして15年の月日が流れ、3人のもとに母こはるが帰ってきた。
引用元:映画.com

感想

「一夜」がですが「人よ」とも受け止められるタイトルが良い。

兎にも角にも作品に1本ビシッとした芯を入れてるのは、凛とした田中裕子の演技。「はじまりのみち」でも凛とした姿が素晴らしかったが、今作はさらに難しい役どころでの演技。ホント素晴らしいの一言。

またそれ引き立てるかのように、歳を重ねてもどんな重荷を背負っても女性らしさを忘れないおしゃれな服装。犯行時は女性らしさなど皆無だっただけに考え深い。

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父親の虐待を母の責任として殺害をもって終わらせる。いっとき子供を助けたかと思われたが、子供たちが待ち受けていたのは人殺しの子という肩書。このどの選択が正しかったのかという問いは、映画を見終わっても考えてしまう重いテーマ。

15年後、次男以外の長男長女は誹謗中傷を浴びながらも自宅にいました。そこに時を経て帰ってきた母親。二人は肉親とは思えない態度で1度は狼狽し拒絶します。が、そこに居たということは誹謗中傷を耐えてでも心の奥底で母親を待っていたのだと思う。

長男を絶大な演技幅を持つ鈴木亮平が演じてます。
唯一家庭を持ってますが別居中で離婚を迫られてます。その理由は暴力。大柄ながら吃音で弱々しい反面、その裏で皮肉にもあの父親に近づいていってしまってるのです。抗えない血というべきでしょうか。鈴木亮平の体躯がぴったりな役どころ。なりたくない父親にどんどん近づいていってしまうのは「共食い」を思い出しました。しかもこちらにも田中裕子出てましたね!

母親をいつもかばう長女には松岡茉優。
水商売で明るい性格なのは事件の重荷を忘れるためなのか。母親にはいつになっても甘えん坊。
ポスターではブクブク太った感じに写ってますが、劇中は全くそんなことはなくスレンダー。なぜ服がブワッとなってる写真を使ったのだろうか。

そして主役となっている次男をクレバー役が似合いすぎる佐藤健。
何でもかんでも反発してそうですが、実は的確に判断し優しい対応もしてます。距離をおいて母親の再会を見守っていながら、実は許せない気持ちを煮えたぎらせ週刊誌に事件のその後として記事を執筆中。

しかしその記事を書くのも、低俗ながらライター職に付いたのも、母親が昔買ってくれたレコーダーが関係しています。15年以上もたつ今もそのレコーダー常に持ち歩いてます。そう一番母親から離れられないのは次男でした。

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終盤見せる母親を助けるためのドロップキック!次男の素直な気持ちが出た爽快な場面です!

そのドロップキックを受けることとなった佐々木蔵之介演じる堂下。
この家族の平行線となる立ち位置で、ヤクザからカタギになりタクシー運転手になるもヤクザとの関係は切れきれず、そして息子だけはと思ってる中、息子がヤクザと繋がった世界にいた事知ります。愕然となり自暴自棄。酒を飲んでタクシー乗り回したあげくに主人公たちの母親を乗せて再度運転。

その運転の先には自死の香りがする中、主人公兄弟が15年前同様タクシーに乗り母親を追いかけます!素晴らしい!15年前と現在をクロスしながらの車内会話でいろいろ謎が解けるのか良い!

こんなドラマ性がある作品には珍しい大興奮のカーチェイス劇!次男が機転をきかせ母親に追いついたところで劇中最大に見せ場となるクラッシュ!そしてドロップキックに繋がります!

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終盤母親の髪を長女が切るシーン。
美容師になりたかったが事件による世間体で諦めてしまった長女。そんな思いを母が受け止める。それだけで泣けますが、バラバラになりかけた3人兄弟が肩を寄せ合いひそひそ話しながら母親を見つめるシーンがホント素晴らしかった。凛として長女を待つ母親の絵も素晴らしい。このシーンだけも観る価値があります。

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ちょっと残念だったのがお笑いの大吾。
かなり重要なシーンに登場しますが、終始笑いを我慢してるのか緊張し過ぎなのかとにかく浮いてました。自分はお笑い芸人が役者に挑戦するのは良いことだと思ってますし他の作品で大吾を観たことがありますが問題なかった。やはり適材適所。いくら風貌がヤクザ風だからといってシリアスな場面には向いてない。特に相手が佐々木蔵之介では。。浮いてることで逆に記憶に残ってしまいました。

ただ気になった場面はそこぐらい。演技派が集まって素晴らしいヒューマンドラマを作り上げてくれました。

データ

製作年:2019年
上映時間:123分
監督:白石和彌
キャスト:佐藤健/鈴木亮平/松岡茉優/音尾琢真/筒井真理子/浅利陽介/韓英恵/MEGUMI/大悟/佐々木蔵之介/田中裕子

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

主人公たちの家 タクシー

映画を観て欲しくなった1品

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