おすすめ度:★★★★☆【4点】
「ダンクルク」
オスカー俳優マーク・ライランスがそう発音したのが印象に残るクリストファー・ノーラン最新作「ダンケルク」
クリストファー・ノーランと言えば徹底された映像表現。だが今回はインセプションに代表されるようなCGを駆使して作られるイメジネーションあふれる世界表現ではなく、極力CGを使わない本物志向の作品となってます。
とにかく全編に通された緊張感がスゴイ。灰色のトーンと低音の音楽が常に流れその緊張感が切れることがありません。また時間軸を3つに分けて物語を交差させていき単調にならず観客を引き付けさせます。
序盤からさっきまで話してた仲間が一瞬で殺され、たった一人生き残る展開が残酷過ぎる。
また陸編の絶望感が凄まじくやっと脱出できると船に乗ったら魚雷で沈没。あっという間に周りが死んで行き生死の境目が何によって引かれているのかわからない。。なんとか生き延びるのもまたスタートの陸に戻され、気持ちここにあらずでいる3人がなんとも表現ができない絵になっておりました。
そしてその浜辺ですが、何も遮断するものが無くドイツ側の飛行機音が絶望的なサイレンとして描かれ皆一斉に死を覚悟するのはホント見てて辛い。居た堪れない。ただ最後陸編と空編が繋がり撃墜し皆一斉に歓喜変わるのは、観てる側も浜辺にいる名も無き兵の気持ちになりイヤォホーとなります!
また最後最後で撃墜したパイロットがトム・ハーディだと気づき驚いた。
船の少年の死は盛り込みすぎたかなと思いましたが、アニキ的存在の青年が少年が死んでしまったことを一瞬で受け止め切り替えたり死の原因を作った人に生きてるとウソを言ったりと、誰よりも悔しいはずなのに数時間戦争を体験したことで大人になったのは本線に関係ないものの心に残るエピソードです。
「ダークナイト」「インターステラー」にくらべると物足りなさは感じるかもしれませんが、緊張感だったり絶望感だったりと「感じる」ことには群を抜いた映画となってます。
原題:Dunkirk
製作年:2017年
上映時間:106分
監督:クリストファー・ノーラン
キャスト:フィオン・ホワイトヘッド/トム・グリン=カーニー/ジャック・ロウデン/ハリー・スタイルズ/アナイリン・バーナード/ジェームズ・ダーシー/バリー・コーガン/ケネス・ブラナー/キリアン・マーフィ/トム・ハーディ
【リンク】
映画.com