真実を知るべきなのかどうか【新聞記者】ネタバレ・レビュー

真実を知るべきなのかどうか。【新聞記者】ネタバレ・レビュー
https://eiga.com/movie/90346/gallery/
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おすすめ度

斬新なカメラワークや色彩など全てにおいて挑戦的な作品。
おすすめ度:★★★★☆【4点】

あらすじ

東都新聞の記者・吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、強い思いを秘めて日本の新聞社で働く彼女は、真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に投身自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人の人生が交差し、ある事実が明らかになる。
引用元:映画.com

感想

まずこのような問題作に売れっ子の松坂桃李が出演したことは大変素晴らしいこと。ラストシーンの絶望に満ちた顔は彼にしかできない。

そしてその逆に主演の女優を日本人ではなく韓国人だったことに一抹の寂しさがある。演じたのはシム・ウンギョン。目に少し斜視がありそれもあってか、なんとも魅力的な顔立ちではあった。アップも良かったです。

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ただやはり新聞記者でなおかつ原作者である望月衣塑子はガンガン質問するのが売りで、どうしても片言の日本語では違和感は拭えない。物語上日本人で母方が韓国籍というフォローが入るがマイナスポイントとなっている。

たぶん日本人女優で受けてくれる人がいなかったのではないか。そこは残念でならない。

今作は内閣情報調査室が日本の情報・印象操作をしているという告発的なものになっている。
隠蔽・捏造なんでもござれ。パソコンが並ぶフロアで他の会社では社長クラスであろう中年から若手までがSNSや掲示板を使い情報を操作していく。自分がよく見る幼稚な文章とかもエリート官僚が生々しく書き込んでるのはゾッと寒気がする。

そしてその寒気を表すように日本の中枢区である内閣情報調査室は終始無機質な色合いで表現されている。夢か現実か。非常にうまい演出。

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中盤、昔の上司が自殺したことから内閣情報調査室の杉原が反旗を翻し、新聞記者の吉岡と協力し極秘情報の公開を目論む。
ここの公開できるのかどうなのかというのは新聞系映画では最大の見せ場。自分はこういう場面大好きです。

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結局新聞側に圧力がかかり公開できず。反旗を翻した杉原は処分されると思いきやお咎めなし。あの反旗を翻した思いが潰されそしてその反旗した相手に生かされる。もう一生飼い殺しされることが確定しラストシーンに繋がります。

松坂桃李はラジオで聞く限りただのデュエリストなのだが、すごい役者なんだなと改めて思いました。あの顔はなかなか見れない。

ラストカットはハッとさせる内容で終わります。考えられるのは杉原の自殺ですがそれだと面白くないかなとも思う、しかし結局上司と同じ道を歩んだとするならば映画上のまとまりには悪くない。次点として吉岡が刺されたも考えられる。

真実を掴んでも結果捻じ曲げられてしまう。では知らないほうが良いのではないか。情報弱者と言われても真実を知らないほうが楽しく生きれるのではないか。と問われている気がします。

真上からのショット。突然横向きの構図に驚かさるがその先には国会議事堂がチラリ。上司の飛び降りシーンも躍動感があり斬新。など他の映画では見ない場面が多くそういう意味でも突出した映画だったと思います。

データ

製作年:2019年
上映時間:113分
監督:藤井道人
キャスト:シム・ウンギョン/松坂桃李/本田翼/岡山天音/郭智博/長田成哉/宮野陽名/高橋努/西田尚美/高橋和也/北村有起哉/田中哲司/望月衣塑子

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

ラストシーンの交差点
東京都千代田区永田町 首相官邸前交差点

おすすめ度:★★★★☆カテゴリの最新記事