
おすすめ度
香取慎吾の存在感。
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
無為な毎日を送っていた木野本郁男は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓と彼女の娘・美波とともに亜弓の故郷である石巻に移り住むことに。亜弓の父・勝美は末期がんに冒されながらも漁師を続けており、近所に住む小野寺が世話を焼いていた。人懐っこい小野寺に誘われて飲みに出かけた郁男は、泥酔している中学教師・村上と出会う。彼は亜弓の元夫で、美波の父親だった。ある日、美波は亜弓と衝突して家を飛び出す。亜弓は夜になっても帰って来ない美波を心配してパニックに陥り、激しく罵られた郁男は彼女を車から降ろしてひとりで捜すよう突き放す。その夜遅く、亜弓は遺体となって発見され……。
引用元:映画.com
感想
いつか酒とギャンブルを絶ち、穏やかな状態「凪」がやってくるのか。そんな幸せを願いつつも酒もギャンブル止められないどうしようもない主人公。
そんな最低主人公を演じたのは香取慎吾。
ジャニーズ時代ならまずできない役柄。そして身体の大きさがなんだかんだで他者を見下してて、なるほど香取慎吾が起用される理由がわかる。また生活に甘えてる現状もSMAPでは一番年下で甘えん坊というイメージとかぶっておりお見事な配役。

兎にも角にも見事なダメっぷりのギャンブル依存症。
絶対そのお金に手を付けちゃまずいだろって金までも湯水の如く使っていく。。ホントにホントに恐ろしい。。観てるものをここまでガッカリさせる主人公。ある意味スゴイです!
封筒の金を使った時「なんでだー」と本気で思いました。観てて辛かった。。
物語の舞台は石巻。自分は震災3年後に足を運んでますが、数年経ってる撮影時とあまり風景が変わっておらずそのことに愕然とします。復興というか土地が整理されてだけなのです。

行ったときも思いましたが震災の多くの被害を受けたのは元々寂れた田舎だった場所。復興を目指すといっても人が集まらないのに建物建てても仕方なく更地のままの状態になり、何を持って復興なのだろうかと考えさせられました。
そしてその難しい問題こそが実は映画のテーマと重なっているのかもしれません。
終盤主人公は家族と決別しますが、テレビのニュースを観て最悪のことを思いつき実行します。なぜそんなことをするのか。そんなことして自分の力で変わると思ったのか。どこまでも迷惑をかける主人公。

ただそこが終着駅でした。
どん底中のどん底。最悪なことしてもまだ助けられるという惨めさ。言葉にもならない底辺。心の底にたどり着いたのか主人公は感情をあらわに号泣します。
主人公は何一つ自分で解決してません。何一つやり遂げてもいません。しかしそれでも見捨てられない。娘が愛した「男」だから?母が好きだった「男」だから?家族にならなかった男をここまで助けるとは人の深さを感じます。
中盤の大きな出来事。そしてその犯人の意外性。普通なら物語の柱になるなかなかのストーリーでしたがこの映画ではそうはなりません。主人公の顛末が最大の柱なのです。

ただ映画のキャッチコピーは「誰が殺したのか?なぜ殺したのか?」と出来事に焦点を当ててます。正直映画と全くあってないキャッチコピーでここまでズレてるキャッチコピーも珍しいのではないでしょうか。担当者映画見てないのかな。ポスターも香取慎吾が殺人犯のようなデザインでびっくり。
主人公の最後は希望あるものですが、だからといってこの主人公の続きを観たいかというとそれはそれで恐ろしい。応援はするが消してその後を聞きたくない、そんな複雑な思いにさせてくれる映画です。
データ
製作年:2019年
上映時間:124分
監督:白石和彌
キャスト:香取慎吾/恒松祐里/西田尚美/吉澤健/音尾琢真/リリー・フランキー/三浦誠己/寺十吾/佐久本宝/黒田大輔/奥野瑛太/麿赤兒/不破万作/宮崎吐夢
リンク
予告
心に残ったロケ地
競輪のノミ場
宮城県石巻市立町 映画同様シャッターが半開きなのがゾッとする。