創り出された青年が自ら創り出す【ブリグズビー・ベア】

創り出された青年が自ら創り出す【ブリグズビー・ベア】

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おすすめ度

その世界観とテンポの良さが際立つ
おすすめ度:★★★★☆【4点】

あらすじ

外の世界から隔絶された小さなシェルターで、両親と3人だけで暮らす25歳のジェームス。子どもの頃から毎週届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育った彼は、現在はその世界の研究に没頭する日々を送っていた。そんなある日、シェルターに警察がやって来て、両親は逮捕されてしまう。これまでジェームスが両親だと思っていた男女は、実は誘拐犯だったのだ。ジェームスは生まれて初めて外の世界に連れ出され、“本当の家族”と一緒に暮らすことになるが……。
引用元:映画.com

感想

設定だけでかなり面白い作品。
幼子から幽閉する話はあるけど、そこに子供のためだけに教育番組を制作し膨大な点数になっているのが面白い点。そして子供が熱狂的ファンにしっかり育ってるというもこれまた面白い。ブリグズビー・ベアのデザインも秀逸!

青年の劇的な数ヶ月を追いかけるのだが、テンポが良く結構ざっくりにカットするため展開が速い。そしてそのざっくり加減が非常に塩梅がよく、さっきはこう言ってたけど次の場面では正反対のことしてて混乱しそうだが、その間の心情は手に取るようにわかりスムーズ。うまい作りになってる。
つまり作り手が観る側を信頼してる証です。

偽りのお父さんをマーク・ハミルが怪演。そして序盤はあまり匂わせなかったが意外にも重要になる実の父親。

これがテレビだぞと自慢げに息子にリモコンを渡すが、事件のニュースが流れてしまい慌ててリモコンを取り返しチャンネルを変えようとするも間違ってボリュームを最大まで上がるテンパりぶり!そしてダーと言いながらテレビのコンセントを引っこ抜くのは爆笑。お父さんの空回り感がおちゃめ。

しかし泣かせてくれるのもこの実の父親。だんだん自分の思う通りになってくれない息子を突き放し厳しくあたるものの最終的に理解し合う仲に。この場面非常にややこしい状況ながら瞬時状況を飲み込み合い、強い信頼関係がより際立つ場面でした。

そして今作最大に印象に残るシーンとしては、制作した映画が完成しお披露目する際、主人公が嘔吐してる場面です。

主人公にとってはブリグズビー・ベアが全てなのです。全てをかけ投影させた作品を人に見られるという気持ち。想像を絶する重圧感でしょう。その万国の作り手の苦悩が非常にうまく表現されている素晴らしい場面でした。

独特の世界観でどう閉めるのかと思いましたが、最終的にはしっかりした顛末を用意しててそれも感動的。結果衝撃的な序盤から最後まで非常に練られてる作品でした。

誘拐は絶対ダメですし、青年期まで世間と隔離した罪も大きい。
しかしその償いなのか膨大な時間と費用をかけて「子供のため」だけに教育番組を作り続けたのかと思うとまた考え深くなる作品です。

データ

原題:Brigsby Bear
製作年:2017年
上映時間:97分
監督:デイブ・マッカリー
キャスト:カイル・ムーニー/マーク・ハミル/ジェーン・アダムス/グレッグ・キニア/クレア・デーンズ/マット・ウォルシュ/アンディ・サムバーグ/ミカエラ・ワトキンス

リンク

映画.com

予告

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ブリグズビー・ベア (字幕版)

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