おすすめ度
ラストが素晴らしすぎる!
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
高度経済成長と大阪万博に沸く1970年代。関西のとある地方都市で小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む夫婦・龍吉と英順は、静花、梨花、美花の3姉妹と長男・時生の6人暮らし。龍吉は戦争で故郷と左腕を奪われながらも常に明るく前向きに生きており、店内は静花の幼なじみの哲男ら常連客たちでいつも賑わっていた。強い絆で結ばれた彼らだったが、やがて時代の波が押し寄せ……。
引用元:映画.com
感想
正直なところ予告編を観て在日同情話を押し付けてくるのかなと思っておりました。たしかに同情させる展開ではありますがそれ以上に深く考えさせられる作品で食わず嫌いせず観て良かった作品でした。
戦争の紆余曲折で意図とは別に日本にたどり着き、日本からも嫌われ朝鮮にも帰れる場所がないどちらつかずな存在である在日。そしてその戦争で複雑になってしまった血がつながっていない焼肉屋の家族。そしてそしてさらに輪をかける姉妹たちの複雑な恋愛模様。
この3段階の混沌さが話の推進力になっており、その中で強く楽しく生きていく家族たちに惹きつけられていきます。
在日が日本を悪く言うシーンは何箇所かありますが、それがあまり嫌味な展開にならなかったのは今作をしっかり締めたキム・サンホ演じるお父さんの存在。理解度が高く日本で生きていくことに強い気持ちで望んでます。その愛嬌ある風貌と常に冷静で優しい。まさにお父さんという感じ。それ故にブチ切れるシーンは涙を誘いました。
予告でもありこの話の大きな軸でもある、国有地に許可なく住んでいる在日たち。
お父さんは酒屋の鈴木さんから買ったといいますが、おそらく薄々気づいてるんでしょう本当は自分の土地ではないことに。しかしそのなんとも薄い約束事を正しいと思っていかなければ一家がバラバラになってしまうという気持ちがすすけてきてなんとも辛い気持ちになります。
バラックの長屋が語るように高度成長期の急激な変化に取り残されていく在日たち。その急激さ故に日本も朝鮮もしっかり対応できずにいたのかもしれません。在日を主とした作品なのだから当然そう思ってしまうのですが、誰にも保証されない存在はあまりにも不憫でした。
でもそれでもやはり気持ちの何処かには不法滞在は良くないぞと冷静に観てしまいますがね。。
終盤に向けてある大きな事件が起きます。
お父さんの言ってることは厳しいが正しく、お母さんの言ってることも正しい。それだけにどうしてそうなってしまったのか。屋根から見た美しい夕焼け。リアカーでの咆哮シーン。これらが相まり非常に辛く胸が張り裂けそうになりました。
ただちょっと苦言をいうのなら、そこから死ぬか?と。いや死ぬかもしれないけどなんでそんな低い場所を選んだかな。そのまま悲しいシーンになるのでスゴイもやもや感。そしてみんなが集まるシーンも非常に演出過多で興醒め。お母さんあっちから来たのにその他のみんなどっから湧いてきたんだ?
これはもう一つ家族で泣きあうシーンにも通じるんだけど、ある意味リアルで慰安婦像前で泣いてる女性たちのように過度な演出でせっかくの気持ちが萎えてしまう。
まあ苦言はこれだけで基本笑わせる展開も多くしっかり緩急をつけて楽しませてくれます。
みんな大好き大泉洋が出演ということで今作のコメディリリーフは大泉洋と思わせますが、そうではなくハン・ドンギュという役所広司に似た韓国人が笑わせてくれます。なんとも可愛そうなんだけどなんとも笑える。お見事でした。大泉洋はどちらかというと憎まれ役でしたね。
真木よう子・井上真央・桜庭ななみの美人三姉妹も素晴らしく。特に同じような作品「パッチギ」に出てた真木よう子はハマっておりました。
最終的に悲しみのお別れシーンになるのですが、そこで絵面を引いていって終わりかなと思ったらまさかの展開に!ええっと戸惑うほど微笑ましく、今までのリアカーの出来事が伏線となりなおかつあの咆哮がなにか今作の笑いも涙も苦しみも表現しており!スゴイお見事すぎる!
ラストカットはやりすぎで余計だったかもしれないけど。心に残る展開が最後に待ってて作品全体を底上げしそして何より嬉しかったです。
データ
製作年:2018年
上映時間:126分
監督:鄭義信
キャスト:真木よう子/井上真央/大泉洋/桜庭ななみ/大谷亮平/ハン・ドンギュ/イム・ヒチョル/大江晋平/イ・ジョンウン/キム・サンホ
リンク
予告
心に残ったロケ地
父と息子の心に残るリアカー咆哮シーン
大阪府豊中市 千里川左岸土
映画を観て欲しくなった1品
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