「半」の意味を噛みしめる【半世界】ネタバレ・レビュー

【半世界】ネタバレ・レビュー
https://eiga.com/movie/88641/gallery/
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おすすめ度

地味ながら深い映画でした。
おすすめ度:★★★☆☆【3点】

あらすじ

山中の炭焼き窯で備長炭の職人として生計を立てている紘の前に元自衛官の瑛介が現れた。突然故郷に帰ってきた瑛介から紘は「こんなこと、ひとりでやってきたのか」と驚かれるが、紘自身は深い考えもなく単に父親の仕事を継ぎ、ただやり過ごしてきたに過ぎなかった。同級生の光彦には妻・初乃に任せきりの息子への無関心を指摘され、仕事のみならず、反抗期である息子の明にすら無関心だった自分に気づかされる。やがて、瑛介が抱える過去を知った紘は、仕事、そして家族と真剣に向き合う決意をする。
引用元:映画.com

感想

稲垣吾郎主演作品。

「十三人の刺客」の怪演よろしくなにやっても役にハマれるマルチの才能の持ち主。今作も地味な田舎ぐらしで不器用なのか相手に威圧的に接してしまう役どころを非常にうまく演じてました。うまい。

タイトルの「半」はいかように取れるのがまた良かった。
幼なじみ3人40代、人生半分を過ぎてまだまだという気持ちともうできないという気持ちが交差していきます。また幼なじみながらも自分の知らない世界を知っている友人。そんな世界を知らないままこのまま自分は行きていくのかという半分の世界。
また親の仕事を受け継いだだけでほんとにやりたいことやってるのか?中途半端な行き方してるじゃないかという疑心暗鬼。
そんな様々な思いを淡々とあぶり出していきます。

突然帰ってきた長谷川博己演じる沖山瑛介、幼なじみ3人で集まるものの昔ほど心を開かない瑛介。しかし昔やってた布団持って海辺での語らいなど童心に戻ることによって徐々に心を開いて主人公の炭火焼を手伝ったりします。こういう流れこっ恥ずかしいけど導線は非常にうまかったです。

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中盤、幼なじみ3人目の岩井光彦の仕事先で客と喧嘩になり2人は手助けするのですがそこで狂気のように暴れる瑛介。瑛介は戦地に赴き部下を亡くしてPTSDになっていたのです。

地味の田舎暮らしとの対比だと思いますがえらいことぶち込んできました。そりゃ大半が知ることのできない世界です。

そして終盤もっと大きい出来事が!
なんと主人公がポックリ亡くなってしまいます。吾郎ちゃーん。
仕事場である山奥の炭火焼小屋で心臓発作で倒れてしまう主人公。ここで葬儀場で働く先輩が小屋前を車で通過する際クラクション鳴らして対して用事はないのに主人公と雑談してる件が活きて倒れた主人公を発見します。葬儀場で働いてるってのがなんか地元の先輩って感じだし死を連想させていたとは良い設定だったと思う。

なんとも急な主人公の最後。
人生最後となってしまった悩みどころとしては息子と確執。イジメられているのも見抜けず高圧的に接してるので息子はドンドン離れていくばかり。息子はイジメられてるとこを元自衛隊の瑛介に助けられ強くなるためボクサーを目指します。

そんな状態だったのだが息子は亡くなってから知る親の愛に気持ちを切り替え高校生ながら炭火焼を継ぐことを決意。そこで幕を閉じます。

序盤主人公が仕事場である炭小屋について一連の流れを後ろから追いかけてるショットを写してるのですが、ラストはそれを息子バージョンでやります!かっけーー!!そして作業が一段落したところで絵が引くとサンドバッグがありボクサーを目指してることも明らかにさせて終了。

このときの足さばきが実に見事でカッコよかった。
そして主人公が悩んでた中途半端な自分を息子はうまくやろうとしてるのが見えて、主人公は安心して天国で過ごせるのではないでしょうか。

データ

製作年:2019年
上映時間:120分
監督:阪本順治
キャスト:稲垣吾郎/長谷川博己/ 池脇千鶴/渋川清彦/堀部圭亮/小野武彦/石橋蓮司

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

瑛介を探し当てた漁港
三重県度会郡南伊勢町 宿田曽漁港

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