
おすすめ度
心躍る8ビットのドットにチップチューン!
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
火葬場で出会ったヒカリ、イシ、タケムラ、イクコは、両親を亡くしても泣けなかった。ゾンビのように感情を失った彼らは自分たちの心を取り戻すため、もう誰もいなくなってしまったそれぞれの家を巡りはじめる。やがて彼らは、冒険の途中でたどり着いたゴミ捨て場で「LITTLE ZOMBIES」というバンドを結成。そこで撮影した映像が話題を呼び社会現象まで巻き起こす大ヒットとなるが、4人は思いがけない運命に翻弄されていく。
引用元:映画.com
感想
8ビットゲームをモチーフに親を亡くした子どもたちの思いを描いていく。
ここまで作り手の色が出てる作品は久しぶり。人を選ぶセンスかもしれないが魅力的であり、多くの俳優陣が参加してるのもうなずける。長久允監督は見た目ファンキーながら監督としてはまだ若い年齢。これから大注目です。
オープニングタイトルが完全にファミコンゲームなのだが、出だし棺桶から4人が出てくるほんの一瞬、ゾワーっと興奮に包まれた。カッコいい!!また音楽も最高です。作曲を担当した「LOVE SPREAD」大注目!。。と思い調べたら二人ユニットのうち一人の方が若くして亡くなってしまいホント残念。合唱。
親を失っても超クレバーな考えの子どもたち。台詞回しにエッと思わせ、現代の子供たちを冷徹に切り取ってる風に見せますが、いやいやたしかに子供時代そんな考えしてたかもと思わせます。そこにファミコンを思わせるチップチューンが流れれば、自然と主人公たちの目線になりきって応援してしまうのです。不思議だ。
子供たちは基本短い言葉で言い切ります。ほぼ単語に近い感じで。そのクレバーさに衝撃を受けますが大人になりいつからまどろっこしい言い方で表現するようになってしまっただろうか。。語彙を知らないから単語なのか。いろいろなことを知りいろいろなことに調整がつくような喋りをしてしまうからなのか。。うまいところ気付かさせてくれます。
語り部は子供たちですが、実は言葉とやっていることが違っていたりしてそういうとこから本音を示してるのがうまい。
例えば、葬式で親の顔を覗いてかなり冷たく語るのだが、実際は「もういいかな」と言われ時間いっぱいまで親の顔見てたのがわかります。

前半4人がそれぞれの家を回り親の死を紹介していった後、中盤大きな動きがあります。
なんとバンドデビュー!この曲も最高!

しかし自分たちで生み出さした音楽が大人たちに翻弄され、逃げ出す形で解散へ。一瞬で元の子供たちに戻ります。いろんな出来事がありながら元に戻る感じ名作「キッズ・リターン」を思わせます。

最終的に当初から頭にあった、主人公ヒカリの親が亡くなった事故現場へ向かいます。盗んだゴミ収集車で!当然免許が無い子供たちが運転。ここからちょっと夢か現実かというテイストに。
そして事故を起こしてしまったのか死を予感させる空想空間でバッドエンドかなと思わせ、ここでゲームテイストが生きる「コンティニュー」を選び、無事事故現場へ。
そして最後みんなが違う方向を選んで歩いてエンディング!この場面最高に良かった。
主人公ヒカリを演じた二宮慶多は「そして父になる」で主人公の子供役を演じた子。大きくなりました!あと主人公を引き取るヒステリックな叔母さん役。最後まで工藤夕貴だとは気づきませんでした。。

クリエイティブ色が強く人を選んでしまうかもしれないけど、こういう作り手の思いが詰まった作品を観るは楽しいですね。
データ
製作年:2019年
上映時間:120分
監督:長久允
キャスト:二宮慶多/水野哲志/奥村門土/中島セナ/佐々木蔵之介/工藤夕貴/池松壮亮/初音映莉子/村上淳/西田尚美/佐野史郎/菊地凛子/永瀬正敏