おすすめ度
葬式で知る亡き人の断片
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
13年前に突然失踪した父親の消息が判明した。しかし、がんを患った父の余命はわずか3カ月。父と家族たちの溝は埋まることなく、3カ月後にこの世を去ってしまう。葬儀に参列した人びとが語る家族の知らなかった父親のエピソードの数々によって、父と家族の13年間の空白が埋まっていく。
引用元:映画.com
感想
イケメン俳優の斎藤工が「齊藤工」名義で監督した作品。
すでに名俳優となつつあるなか監督業までこなしてちょっとどうなかと思っていましたが、最後まで映像センス溢れる素晴らしい作品に仕上がっておりました。上映時間は長編監督デビュー作と言いながらも短編映画に近い70分でしたがその分濃縮されており満足度はかなり高い。
そして肩書がある役者は少ないものの、芸人を含めたその多才な出演者に斎藤工の人望が垣間見えます。
構成も面白く、大きく前編後編に分かれておりその間にタイトルが出るという仕掛け。斬新で上手い。前編は父が生前時の辛い思い出が語られていき、後半はお葬式は喜劇だと言わんばかりにユーモア溢れる展開になってます。
家族を捨てただらしない父親らしく葬式に来た友人知人はおかしな奴らばかり。そこで展開されるなんともおかしくてたまらない状況に親族席にいる主役3人はまさに笑ってはいけないシリーズのように堪えているようでした。それがまたたまらない。
しかしそのおかしなエピソードから浮かび上がる家族を捨ててからの13年間。そして人間模様。おかしいのだが泣けてくる。まさに喜劇。父親を一番ドライに観ていた長男が一番最初に言葉を詰まらたのがなんとも印象的でした。
ラストカットの母親は非常素晴らしく、その言葉にすることができない感情を観る側も言葉にできないが理解できる、それが映像作品だと思っているので齊藤工監督のセンスはお見事としか言えない。
エンドロール最後もあの展開は意外にも観たことがなく、全く底が見えない齊藤工監督の映像センス。
早く次回作が観たくて仕方ない。
データ
製作年:2017年
上映時間:70分
監督:齊藤工
キャスト:高橋一生/松岡茉優/斎藤工/神野三鈴/佐藤二朗/リリー・フランキー
リンク
予告
心に残ったロケ地
葬式シーンで撮影された梁田町自治会館と長福寺