
おすすめ度
W主演ながら岡村途中退場!しかしそこからの仇討ち決意に燃える!
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
元禄14年3月14日。清廉潔白な赤穂藩主・浅野内匠頭は、かねて賄賂まみれだった吉良上野介に江戸城内で斬りかかり、即日切腹を言い渡される。突如として藩主を亡くした赤穂藩士たちは路頭に迷うこととなり、筆頭家老の大石内蔵助は勘定方の矢頭長助の力を借りて財源の確保などに努めるが、そうした努力や幕府への働きかけも虚しく、お家再興の夢は絶たれてしまう。それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助だったが、江戸の庶民たちは吉良への仇討を熱望。しかし討ち入りするにも予算が必要で、その上限の都合上、討ち入りのチャンスは1回きり。予算内で仇討を成功させるべく奮闘する浪士たちだったが……。
引用元:映画.com
感想
ナイナイ岡村好きなので観てまいりました。
全体的に抑えめな演技だったのもあり無難な出来でホッと胸を撫で下ろす。さすがに最初の主要キャストが揃うシーンでは演技が硬くこちらにも緊張が伝わりましたが、それ以外はボソボソ嫌味を言うキャラが終始ハマってました。
中盤、命を狙われていた大石蔵之介が刺客たちに籠をごと刺されまくるシーン。籠の中は大石では無いことは物語上わかってますが、では誰かということで正体は岡村演じる矢頭長助。大石が心配で追いかけたのが仇になるまさかの展開!W主演だろ!
しかし今まで討ち入りに反対だった大石内蔵助は竹馬の友である矢頭の死を持って討ち入りを決意。最後に矢頭の懐から討ち入りまでも予測した帳簿を渡され、無駄遣いをしないことを誓う。これで今まで無駄遣いを突っ込まれていた側から突っ込む側へ様変わり。ここから物語は大石の突っ込み祭りで進んでいくことになります!なるほどW主演の1人が退場する意味はありました。
そして岡村最大の見せ場である死に際シーン。どんな役者でも難しいと思われる息絶えるシーンを岡村がやるとはビックリ。そしてその重要なシーンに芸人の片鱗を見せながらの演技はお見事!岡村爪痕残せました!
ちなみに史実では岡村が演じた矢頭長助は討ち入り前に病死しその思いを息子に託してます。
さてここから本格的に討ち入りを決めて浅野内匠頭の命日に日程を決めたもののお金が持たないことが発覚。リストラが始まります。まさか赤穂浪士47人の「47」にこんな裏話があったとは!史実では命を惜しむものへの「神文返し」ではあったがこういう切り口面白い!

そしていざ討ち入り準備になるとあれやこれやが必要でさらに加速して予算が減っていきます。このやり取りがホント面白く。兵法に長けた菅谷半之丞が理路整然と何が必要と言っていくのですが、主役である大石はそれを聞いて無理無理無理と討ち入りに熱くなる家臣とは別に心がどんどん離れていきます。
予算を抱えたプロデューサーが企画会議でスタッフが白熱していく中、一人お金の計算でアワアワする。全然現代でもあるやり取りです。またこの予算削減アイデアの中で今では忠臣蔵討ち入りの代名詞になる火消しスタイルが確立されるのも面白い。
どう考えても予算マイナスの中、ある光明がさしサクッと予算達成が可能に!はい!じゃ討ち入りしますで終わっていきます。討ち入りシーンはありません。予算達成がこの映画の大団円です!
そしてあれだけ金遣いが荒かった番方(武士側)の大石内蔵助だったが、最終的には100両を余らせそのお金を島流しなどひどい扱いを受けた者たちへの救済に当ててくれと懇願します。史実では時間はかかったものの島流しは3年で戻されてます。
序盤の「小さいことからコツコツと」by西川きよしなど、先々のためのお金作りに翻弄する役方(経理担当)に意味がないと豪語してた大石内蔵助の変わりよう。非常に心を打ちます。
すでに顛末は知られている国民的歴史話をコメディタッチでお金の観点から見るという構図。大成功だったんじゃないでしょうか。

中村監督は演出が非常に長けており「白ゆき姫殺人事件」でのSNSの見せ方は2014年の作品ながら今でも色あせることなく斬新な見せ方。今作それはお金の表示になります。残金カウンターがすごい勢いでマイナスになりまだ減っていくカウンターを演者が手で隠すという斬新さはなかなかのアイデアでした。
あと全体的に討ち入り=死が待ってるなか、その気持ちは最後までオミットさせコメディに徹したのはかなり苦労したんだと思います。
そば1杯16文=現代480円=1文30円。
映画出だしに屋台のそばでこの相場を説明し映画最後もそばでした。そこで天ぷらそばを頼んでしまい金額が合わないというコント風味なのも最後まで笑いを含ませうまかったです。
データ
製作年:2019年
上映時間:125分
監督:中村義洋
キャスト:堤真一/岡村隆史/濱田岳/横山裕/荒川良々/妻夫木聡/大地康雄/西村まさ彦/木村祐一/小松利昌/沖田裕樹/鈴木福/竹内結子/石原さとみ
リンク
予告
心に残ったロケ地
大石内蔵助が女遊びした場所。横山裕演じる不破が川に落ちる場所。
滋賀県近江八幡市八幡堀