おすすめ度
どうせ伝えきれないならと逃げまくる主人公。鼻水を垂らしながらの咆哮が胸を打つ。
おすすめ度:★★★★☆【4点】
あらすじ
上手く言葉を話せないために周囲となじめずにいた高校1年生の大島志乃は、同級生の岡崎加代と校舎裏で出会ったことをきっかけに、彼女と一緒に過ごすように。コンプレックスから周囲と距離を置き卑屈になっていた志乃だが、加代にバンドを組もうと誘われて少しずつ変わっていく。やがて、志乃をからかった同級生の男子・菊地が強引にバンドに加入することになり……。
引用元:映画.com
感想
主人公は言葉が吃ってしまう症状に悩まされてる女子高生。鏡の前ではキレイに言え何度何度もぶつぶつと練習をしてるのに自己紹介時間では地獄が待っている。非常に辛く目も当てられない状況。
これは吃音といわれる症状なのだが、映画では一度もその単語は出てこない。
吃音症までもいかないが吃るということでは自分にも苦い思い出がある
若い頃スーパーの品出しバイトをしていた頃、バックヤードから店内に出る時必ず「いらっしゃいませ」と言う決まりになっており大勢の人に聞かれるという緊張感からか「いらっしゃいませ」の「い」がきれいに出ず「い、い、いっぁらっせぇー」となってしまっていた。当然恥ずかしく誰にも聞かれたく無かった。
その後何度も恥ずかしいと思いながら続けていたが、ギョッとされるお客様を目の辺りにしたのが決定打でその後言わないという選択をしてしまった。。結局社員に注意されるのだがその後小さい声でなんとかやり過ごしていた。やる気のない人間に見られていたのかも知れない。
ただその後バイトを続けたこともあり大きい声で「いらっしゃいませ」と言えるようになった。つらい時期は覚えてるのだがいつどのように変化があったのかはよく覚えていない。任されることが多くなったり後輩が増えたからかもしれないが。。切り替われた瞬間は全く覚えていない。
そんな感情移入がちょっとできつつも自分の苦い思い出を遥かに上を行く症状の主人公。
そこから勇気を出し友だちができ、歌はうまく歌えたことで夏休みを音楽活動にいそしんでいくのだが、男性が入ってから築いたものが崩れていってしまう。
この男性が入ってからの一連の流れが、年をとって青春が縁遠くなってしまったからなのかなんともうまく説明ができない。
異性だからなのか、最初の自己紹介をバカにされた事が永遠に許されざることなのか、加代ちゃんを取られてしまったという思いなのか。。難しい。
たぶん主人公は今までずっと逃げてきたのだろう。うまく伝えきれないことがわかっているんだから逃げてしまおう。分かり合うことから逃げてしまうおうと。ただあの商店街でへたり込む姿を見るに何度何度もこういうことで後悔してきているのもわかる。そんな姿にいつかはという気持ちが見て取れた。
終盤この映画は予想通りとはいかない。
これはかなりリアルである。非常に胸を打つリアルである。体育館の出来事もその後の展開もよくこんな展開出してきたなと思う。ここまでアナザーストーリーを観客に焚きつけてくる作品はないんじゃないかな。素晴らしかったです。
映画の舞台は沼津で風光明媚な学校が非常に魅力的でした。
主人公を何回か堀北真希に似てるなと思った南沙良。友人役をすでに是枝監督に認められCMにも多く出てる蒔田彩珠。ふたりとも今度絶対売れると思うので大期待の女優さんです。空気読めない人間を演じた萩原利久も素晴らしかった。
ぜひ観た人全員であの後どうなるのか話し合いたい。
データ
製作年:2017年
上映時間:110分
監督:湯浅弘章
キャスト:南沙良/蒔田彩珠/萩原利久/小柳まいか/池田朱那/柿本朱里/中田美優/三輪江一/蒼波純/渡辺哲/山田キヌヲ/奥貫薫
リンク
予告
心に残ったロケ地
二人乗りをしたポスターにもなってるシーン
静岡県沼津市内浦漁協