キムタク×二宮なのにジャニーズ色一切排除!キムタク新境地【検察側の罪人】レビュー

キムタク×二宮なのにジャニーズ色一切排除!キムタク新境地【検察側の罪人】レビュー

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おすすめ度

テーマを詰め込み過ぎながらもかなり引き込まれる傑作
おすすめ度:★★★★★【5点】

あらすじ

都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上と、駆け出しの検事・沖野。やがて、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ごたえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱き始める。
引用元:映画.com

感想

木村拓哉主演。そして最大の話題となった嵐の二宮和也をキャスティングしダブル主演に近い形でさぞかしジャニーズ色が濃いのだろうと思ったら、驚くことに完全に監督色が上回っており「映画は監督のもの」を地で行く原田眞人監督の意欲的作品に木村拓哉と二宮和也が出演しているというものでした。

そしてその他キャスティングもジャニーズ主演映画ではあまり見ることのない演技派で固めており、作品からジャニーズ色を感じることは一切ありません。また木村拓哉的にも若さを出すより渋さを選び、そして一番驚いた「悪」を演じたことでキムタクの新しい分岐作品なのは間違いない。

作品は原田眞人監督らしく濃厚な展開。いや濃厚すぎたかな。
日本最大の愚行「インパール作戦」そして「白骨街道」が最後までキーワードになっており、ジャニーズ映画として見に来た人がテーマの大きさ重さに少々辟易してしまうのもちょっとわかります。またそこに戦後の大企業やマスコミをも問題提議しており少々詰め込み過ぎ。

ただそこが欠点とも思えないのは、作品のテンポの良さかもしれません。グイグイ引き込まれるストーリーにテンポの良さで娯楽的楽しさもしっかり出してます。あと原田眞人監督のなんとも言えないユーモラスがあり、国選弁護人の奥さんが女性なのにリーゼントだったり、大人の情事後の変な体制だったりとか、こんな濃厚な作品になんて遊び心入れてくるんだろうと驚きながらも作品の魅力に引き込まれちゃいます。

ちなみの二宮和也演じる沖野と吉高由里子演じる橘の大人の情事後の変な体制は、ピーク時に富士山に昇り、人で溢れた山小屋で男友人と一枚の布団を足と頭反対っ子にして寝たのを思い出しました。ただその時は雷雨で出発が遅れ大混雑で更に遅れ、山小屋に深夜についたこともあり極度に疲れていたので横になれたことが幸せだったの覚えてます。映画の話に戻ると情事前のキスも非常にユーモラスで必見。

この作品を観てなんとも驚かせられるのが二宮和也演じる沖野の違法ギリギリの捲したてる尋問シーン。木村拓哉演じる憧れの最上の前では控えめの意見や照れなど見せ、また出社シーンなどではリュックを背負い社会出始めの若さを出しておきながら、尋問側と対峙し「検察側」の席に座るとスイッチが入った如く高圧的に相手を捲し立てて行きます。その頭の回転の速さや相手へのいやらしい挑発そして策士ぶりも非常にお見事!松倉がやる「ンパッ」という相手を小馬鹿にする行為を返しに使うのも最高でした。

そして主演の木村拓哉ですが、最高でしたね!
エリートで成功者「できる男」を演じながら、途中からある愚行に走っていきます。そこからの狼狽っぷりはホントにキムタクの新境地ではないでしょうか。嘔吐から何度も何度もセーフティロックを確認する小物ぶり、そして決定的な愚行をしたあとのコメントなんて最高すぎる!こんなキムタクを見れるなんて!ある意味すごくリアリティを感じる場面でキムタクが愛おしくなる場面でもあります。

「HERO」という傑作ドラマでも検事を演じた木村拓哉が、同じ検事役でこのような作品に出るということが非常に考え深く、また木村拓哉と二宮和也というジャニーズの先輩後輩というも作品とリンクしており、なかなか贅沢に仕掛けらた映画です。

ラストシーンはキムタクと二宮のツーショットで終わりますが、ここでの二人の対比がお見事で「下るものと登るもの」続いて「見られるものと見下すもの」に別れます。今まで映画を観てきて正義とはなにかを考えていく中この対比がラストシーンとはホントぞっとします。

国を変える正義なのか眼の前の正義なのか。
壮大な絵空事に酔いしれた正義なのか砕かれた正義なのか。

終始答えがない「正義」というのも非常に考えさせられます。

あなたは最上ですか沖野ですか。

データ

製作年:2018年
上映時間:123分
監督:原田眞人
キャスト:木村拓哉/二宮和也/吉高由里子/平岳大/大倉孝二/八嶋智人/音尾琢真/大場泰正/谷田歩/酒向芳/矢島健一/山崎紘菜/松重豊/山崎努

リンク

映画.com

予告

心に残ったロケ地

沖野と橘が飲むシーン 異国的な雰囲気を出している
東京都鶯谷近くの陸橋横

映画を観て欲しくなった1品

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