おすすめ度
役者陣が強烈なぶつかり合いながら、話の展開が素晴らしすぎる。
おすすめ度:★★★★★【5点】
あらすじ
昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島・呉原で地場の暴力団・尾谷組と新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の加古村組の抗争がくすぶり始める中、加古村組関連の金融会社社員が失踪する。所轄署に配属となった新人刑事・日岡秀一は、暴力団との癒着を噂されるベテラン刑事・大上章吾とともに事件の捜査にあたるが、この失踪事件を契機に尾谷組と加古村組の抗争が激化していく。
引用元:映画.com
感想
自分はタイトルをぼんやり捉えて置きながらその意味が色濃く出る展開に非常に興奮してしまう性分で、今作は劇的にその展開が待っており最高に興奮しました。タイトルの意味にここまで興奮したのは「真夏の方程式」以来です。
破天荒な主人公の信念は予告でも語られておりそれは一言一句変わっていないのですが、終盤にクラブのママから明かさせる言葉からグルンと捉え方が変わります。
明かされる【孤狼】の意味。
自分はその存在にダークヒーロー(手段を選ばず迷惑をかけながらも結果はヒーローと同じ)的なものを感じ、より一層大上が魅力的なキャラクターとなりました。
そしてその後の大きな展開から知るべきとなる【孤狼】の信念と行動力。
それは新しい【孤狼】が生まれるには有り余る展開。序盤に感じた松坂桃李がこの作品になんか合ってないなという違和感が強烈な跳ねっ返りとなり胸を貫いてきます。お見事。
ある人物が劇的に成長する話、またなにかを受け継いでいく話は多々ありますが、今作はそのロジックがしっかりしており合わせてバディものとしても熱い展開となってます!ある小物が表面上わかりやすく受け継がれるのですが、その流れも非常にたまらないものがありラストはその小物を使って幕が閉じるのでもう拍手しか無いです。
近年ヤクザ映画は「アウトレイジ」という流れですが、予告でもコメントされているようにエンターテイメント寄りの「アウトレイジ」に対して昭和の匂いが色濃く出たヤクザで対抗したのが今作。
正直、東映の看板映画「仁義なき戦い」をそこまで知らない世代としては東映の今作への思いを完全に知ることはできませんが、汗ばむ昭和の夏に魂のやり取りをする漢達に胸踊らずにはいられません。
ヤクザもの警察ものとしてしっかり出来上がっておきながら、その実は話の本筋が最高に熱いという珠玉の1本でした。
データ
製作年:2018年
上映時間:126分
監督:白石和彌
キャスト:役所広司/松坂桃李/真木よう子/滝藤賢一/音尾琢真/駿河太郎/中村倫也/中村獅童/矢島健一/ピエール瀧/江口洋介/竹野内豊
リンク
予告
心に残ったロケ地
日岡が大上の真相を里佳子から聞くシーン など
広島県呉市 楓橋
眼の前の黄ビルはクラブ「梨子」で使用されている
呉市は一度行っていますが、大和ミュージアムにしか足を運んでおらず、昭和の匂いが色濃く残るこの街を散策しなかったことを後悔。もう一度足を運んでみたい街です。