おすすめ度
幾層にも重なり合うテーマの中、最後に大きな愛を感じる
おすすめ度:★★★★★【5点】
あらすじ
1980年代に団地で生まれたごく普通の少年・悟は、小学校の卒業とともに「団地から一歩も出ずに生きる」と決める。中学校には通わず、団地内のパトロールを日課に日々を過ごし、やがて団地内のケーキ屋に就職。同級生と婚約もして人生をそれなりに謳歌していたが、時代の変遷とともに多くの人が団地を去り、悟は1人取り残されていく。
引用元:映画.com
感想
小学校を卒業後、一生団地で過ごすと決め有言実行する男の物語。
中学も行かず空手で己を鍛え全てが揃う団地で就職し恋をし大人になって行きます。
「みなさん、さようなら」と同級生が続々と団地を離れていく中、団地を出ようとすると気絶してしまうほどこの男の意志は強い。
序盤、夢の団地生活PVが今となっては画質の悪い古い時代感を出しておりこれが話し上ウマイ演出に。夢の団地が最終的には寂れ、外国人が多くなりトラブルの元になってるとこまで描いてるのはさすがです。
これは現代の引きこもり映画なのか、陰惨な事件の被害者なのか、なんでも揃う夢の団地生活を揶揄してるのか。。いろんなメッセージが見え隠れする中、ラストでこの映画は一気に厚み増します。
ネタバレになりますが、、
終盤あれだけ頑なに団地から出れなかった主人公は呆気なく団地から出ます。それは母親が倒れ搬送された病院に向かうため。
母親の愛。
今作色々な問題定義を投げかける中、一番最後に強く感じたのはこのテーマでした。
主人公がなぜ失笑されるようなことをやり遂げれたのか。そこには隠れた母親のサポートがあったからです。この母親を大塚寧々が出番は少ないものの熱演。
最後そこに気づく主人公。母親の手紙に号泣しそして思い立ち実行に移します。「みなさん、さようなら」と。
劇中2つの意味を持つタイトル。素晴らしすぎて震えます!
最後引越しで団地を出る主人公を空撮で長回し。心に残るラストシーンでした。
データ
製作年:2012年
上映時間: 120分
監督:中村義洋
キャスト:濱田岳/倉科カナ/永山絢斗/波瑠/田中圭/ベンガル/大塚寧々
リンク
予告
心に残ったロケ地
幾度と出てくる長い階段
川崎市麻溝台団地