夜明け告げるルーのうた

おすすめ度:★★★★★【5点】

「死に物狂い」
よく使われる言葉で当然比喩的なものだろうが、それを文字通り再現した娘を助けに行くパパのシーン。

温厚そうなパパが怒りに身を任せ猪突猛進。命が削れる如く皮膚が焼け上がる様は凶々しく悪魔のよう。自分は文字通りという表現が好きなのでものすごく印象が残ったシーンでした。

最近コンスタントに作品を発表している湯浅政明。作品としては奇想天外さは薄いもののメッセージ性が強いものとなっております。それでもやっぱり湯浅ワールドはたっぷり堪能できますけどね。住民全員がコミカルダンスとか爆笑だしちゃっかりパート割されてるのも可笑しすぎます。

街に残る人魚に対しての思いが最後怒涛のように回収されていくのがうまい。特に傘の件。じいちゃんだけでなく漁港のみんながあの行動取るところに心が打ちのめされます。やられました。

また音楽が重要な要素になっており、核となってる曲が斉藤和義が97年にリリースした「歌うたいのバラッド」。数多くのアーティストがカバーしてる名曲。歌詞が素晴らしく作品を表現するにはこれ以上ない曲になっております。

うまい構成として特殊な地形の町が主人公の心境とリンクしており最初と最後ではどちらも違う様相になっているのも素晴らしい。

自分の思いを大きな声で言えない変に大人ぶった時期だれにでもあります。そんな時見たい見せたいそんな映画でした。


製作年: 2017年
上映時間:107分
監督:湯浅政明
キャスト(声の出演):谷花音/下田翔大/篠原信一/柄本明/斉藤壮馬/寿美菜子/大悟/ノブ

【リンク】
映画.com

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