おすすめ度:★★★★☆【4点】
小津安二郎の「東京物語」のリメイクではなくオマージュで作成された本作。
「これは、あなたの物語です」
キャッチコピーそのままに観た人が誰かの目線に立って見れる映画です。
親、子、孫、そして他人。特に震災で延期した分、震災を脚本に取り入れ他人のつながりが強調されている気がします。
東京家族なのに長男の家がかろうじて東京である町田市のつくし野(ちょっと歩いたら横浜市緑区)だったりホテル先が元は熱海だけどみなとみらいだったりと、うまく現代を切り取ったアレンジになっております。
大巨匠山田洋次監督作品となるとNHKというか真面目というか現代の今に疎いと思ってしまいますが、これがなかなかしっかり「今」を入れてきて、ただ入れてくるのではなく旨い案配で切り取るあたり感服しております。
実はオマージュ元の小津安二郎 東京物語はあまり鮮明に覚えておらず、東京物語としてしっかり覚えてるのは2002年にFNS27時間テレビ内で放送された松たか子を主役に置いたTV版。TVドラマながら津井健と八千草薫らが出ており他も豪華だった。
お祭り番組内の放送とはいえしっかり真面目に作られており、東京物語といえば小津安二郎で笠智衆・原節子なのでしょうがそれに埋もれてしまうには勿体無い作品です。
今作は全てトップクラスの俳優を揃えておりこの中では5〜6番手になりそうな中嶋朋子。国民的には「蛍」で吉岡秀隆に遅れを取っているイメージですが、母がガンと知った一連の演技は素晴らしくこれぞ女優魂というものを感じました。こちらも一瞬で感情移入し号泣です。
またお約束でもありますが、妻夫木ファンの自分としては今作も泣き顔が見れ、いよ待ってましたという感じ。
役者魂の鍔迫り合いとしても見ごたえがある映画で、そしてそれをまとめあげる山田洋次監督渾身の作品でもありました。
製作年:2012年
上映時間:146分
監督:山田洋次
キャスト:橋爪功/吉行和子/西村雅彦/夏川結衣/中嶋朋子/林家正蔵/妻夫木聡/蒼井優/小林稔侍/風吹ジュン
【リンク】
映画.com