おすすめ度
40代ではなく若い頃観ておきたかった作品
おすすめ度:★★★★★【5点】
あらすじ
大学受験に失敗し、彼女にもフラれて高校を卒業した平野勇気は、林業研修プログラムのパンフレットが目に留まる。その表紙でほほ笑む美女につられ、ケータイの電波も届かない田舎の神去村で林業の研修に参加することになった勇気だが、想像を絶する現場の過酷さに、早くも逃げ出したくなる。しかし、パンフレットの美女が村に住んでいることを知り、そのまま田舎暮らしと林業を続けていくことを決意するが……。
引用元:映画.com
感想
人生の謎がいろいろと解けた映画でした。
なぜ祭り事があるのか、なぜ先祖代々の写真が並べられてるのか、なぜ言い伝えがあるのか、そしてなぜ生きてるのか。。
生きとし生けるものの心理を説明的ではなく楽しく笑わせて教えてくれる、まさにエンターテイメント映画!
矢口史靖監督はいつも1から脚本を書かれてますが、今作は直木賞作家の三浦しをん「神去なあなあ日常」を原作にし脚本を担当してます。なので監督としてはどう思っているのかわかりませんが、自分は良い方向に転んで大傑作になったと思ってます。
伐採した木は100年前のもの、そしていま植えている木は100年後伐採されるもの。今生きる自分たちだけでは成り立たない林業。100年前に感謝し100年後の繁栄を祈る。林業から生きる意味をこんなにわかりやすく学ぶとは!ああなんでそういうことをしっかり学ばず生きてきてしまったのだろう。ガーンと頭を打たれた衝撃でした。。
そして祭り事に風俗が絡む理由もたいへんわかった。行き過ぎると奇祭となってしまいますが祭り事の本質はそこだったのねとこちらも改めて学びました。終盤のメインイベントはかなりこっ恥ずかしいですが、直球ど真ん中ですね。
林業の過酷さは主人公と同じ目線で味わっていきます。逃げ出したい力仕事から汚れ仕事・それでいて大自然に囲まれ四季折々を感じる充実さ。主人公演じた染谷将太の爛漫とした演技がこれまた素晴らしく。最後まで主人公と一体化して観れました。
その他役者全てパーフェクト。ヒロイン長澤まさみの素朴なエロさもたまりませんが、なんと言ってもその中でも郡を抜く存在な伊藤英明。
伊藤英明といえば海猿がすぐに思い浮かびますが今作を見たらもうそれはないでしょ。それぐらいまでのハマり役。今でもチェンソーを持って木を切ってるのではないかをホントに思ってしまう。少し離れた家からトラックまで乗り込むワンカットは映画屈指の名場面!
心に残った場面多かったですが、些細な場面ですが仕事帰りみんなでトラックに乗って民謡を合唱するシーン良かったです。微笑ましく憧れてしまいました。
あと放任主義だが子供への愛を感じるちょっとだけ出てくる主人公の親、村でたくましく生きる老人たちも細かい部分で印象的。マイア・ヒラサワが歌うテーマソングもナイスでした。
観る前は特殊な環境を面白可笑しく観る映画かなと思いましたが、林業を学び人生を学んだ大傑作の映画でした。
データ
製作年:2014年
上映時間:116分
監督:矢口史靖
キャスト:染谷将太/長澤まさみ/伊藤英明/優香/西田尚美/マキタスポーツ/有福正志/近藤芳正/光石研/柄本明